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ビッグゲームの最高峰、玄界~響灘のクロマグロキャスティング

300kgを超える巨体に成長するクロマグロは、釣りの対象魚の頂点に君臨する王様です。想像を絶するパワーとスピード、ルアーを見破る眼力と賢さを備え、その攻略難易度はまさにルアーゲームの最高峰と言えます。近年は保護政策の恩恵もあって個体数が増えてきてはいますが、それでもヒットチャンスは大変希少。また、タックルをそろえるにも費用がかかり、厳しい規制のもとに行われるゲームなので、正直ハードルの高い釣りであることは否めません。だからこそ、一生に1匹はキャッチしてみたい。今回は、そんな情熱を持ったアングラーに、響灘周辺海域を舞台としたルアーによるクロマグロゲームについて解説します。

■今回のフィッシングアドバイザー

オーナーばり/藤岡裕樹さん
父親の影響で、物心ついた時にはすでにロッドを握っていた生粋のアングラー。少年時代はタチウオの引き釣りやバスフィッシング、シーバス、渓流釣りなどで腕を磨く。大学時代からはオフショアゲームにも没頭し、国内各地のほか海外にも遠征し多彩な経験を積んだ。
現在は、オーナーばりの企画営業スタッフとして、オフショアルアーゲーム、船のエサ釣り、友釣り、エギングの商品開発や企画を担当。座右の銘は釣りを深く探求すること。得意分野は船のルアー&エサ釣り。

■玄海灘~響灘のクロマグロキャスティング

日本海側では九州から北海道南部までがフィールドであり、今回はその中でも玄界灘から響灘にかけての釣りを紹介していきます。釣りの対象となるのは30kg以上から300kgオーバーまでと幅広いですが、同海域では80~250kgクラスがメインであり、このサイズを想定したゲームとなります。

なお、響灘のハイシーズンは5~8月で、シーズン初期の5~6月は150~250kgとサイズが大きく、7月になると100~200kgとひと回り小さくなりますが、まだまだデカイ。8月は80~130kgと小型化しますが、この時期は水温が高いのでパワーが強烈です。なお、シーズン初期はまだ水温が上がりきっていないため、マグロが本来のパワーを発揮しにくく、大量の卵や白子をお腹に抱えているため速度も出にくい。なので、シーズン初期は大型を獲りやすい時期となります。

■このゲームのルーツ

東北や九州でコアな人たちが、GTタックルなどを用いて、2000年ごろから攻略を行っていました。当時は数十kgサイズでもキャッチできれば御の字でしたが、タックルの強度や性能が飛躍的に向上し、今では200~300kgの大型がキャッチできるようになりました。なお、大型個体をゲームとして狙えるようになったのは、水産庁や漁業関係者の資源保護への取り組みの賜物です。

■このゲームの魅力

何といっても桁違いのパワーとスピードを体験できるファイトです。また、20㎝以上、100gもあるようなルアーを巧みに操る必要があるのも面白い。おまけに、魚の動きを見ながら、自分の体力消費量をコントロールしながら効率よく寄せてくる駆け引き…体力、技術、知力と持てる力のすべてを駆使したバトルとなります。だからこそ面白い!だからこそ熱い!キャッチしたときの達成感は何物にも代えがたいと思います。

■クロマグロの生態

20℃前後の水温を好み、この生活環境を追うように移動しますが、そこにベイトの動きが絡んできます。5月ごろ、五島列島の沖に集まる産卵を控えたトビウオと、適水温の潮が北へと移動していくのに合わせ、玄界灘、山陰沖へと北東へ進み、最終的に北海道まで回遊します。北上の過程で複数回に分けて産卵し、その際には複数の群れが集まってくると同時に、栄養を蓄えようと荒食いします。運動場ほどの広さの一面ボイルが出現するのがこうしたときです。午後2~5時ごろにこの行動が起きやすいです。
また、産卵中も威嚇行動でルアーにバイトするためチャンスが続きます。その反面、学習能力や警戒心も強く、船のエンジン音を覚えて避けたり、優れた動体視力でルアーを見切ります。

■タックルについて

・ロッド…ツナ用キャスティングロッド7~8ft…キャストウェイトMAX200g前後、適合ラインPE12号
・リール…キャスティング用大型スピニングリール…ダイワ製25000番/シマノ製25000番 ※パワーギアタイプ推奨
・メインライン…PE12号×300m以上
・リーダー…ナイロン300lb(100号程度)を3m

■ルアー

・ダイビングペンシル…200~240㎜
・ポッパー…同サイズ

■フック

■小物類

■タックル以外に必要なもの

・ライフジャケット
・デッキブーツやデッキシューズ(滑らない専用のもの)
・ラインブレーカー(※ノットを締め込むために欠かせない)
・ノット専用潤滑剤(またはワセリン)
・キャスティング用グローブ(ハンドアーマーなど)
・飲食物用小型クーラー
・帽子(プラグやフックから頭部を保護するため)
・サングラス(プラグやフックから目を保護するため)
・プラグ交換用プライヤー
・先の長いプライヤー(フックはずし用)
・タオル
・活け〆ナイフ

■あると便利な物

・2.5~3mのスケール(水産庁への報告に必要)

■釣り方…基本編

・ノットとルアーの接続

体力や技術も大事ですが、とにかく強度のあるノットを確実に作れるようになることが第一。
ノットを組んだあと、ラインブレーカーにリーダーを巻き、背筋を使って思いっきり引っ張って切れなければ合格です。
また、ルアーはリーダーを結んだソリッドリングにスプリットリングを介して装着しますが、長時間ファイトを強いられるクロマグロゲームでは、ソリッドリングとリーダーとの結び目を補強する必要があります。パワーノットチューブやほつれん泳がせ強化チューブを使用すると、その強度を飛躍的に高めることができるので、これを装着しましょう。

なお、チューブにリーダーを通す際は、リーダーの先を通しやすいよう、斜めに切って尖らせ、切り口の出っ張りを軽くライターで炙って角を取ってやるとチューブの繊維にリーダーが引っかからず通しやすくなります。

・キャスト

まず魚探しから始まります。船長任せにせず、アングラーも加わることで確率がずっと上がります。ボイルを見つけたらロッドで方向を示すなどして知らせましょう。
派手なボイルが出なくても、単発ボイルや鳥の旋回など気配があれば、誘い出しで喰ってきます。
群れのボイルに遭遇した場合は、船長の合図と同時に素早くキャストし、群れの鼻先や際(きわ)を狙います。鳥の密度や動きを見ると、群れの進行方向を推測できます。
なお、群れの中に投げると、ファイト中のラインが他のマグロに擦れて切れる「友達切れ」が生じたりします。

・ルアー操作

ダイビングペンシルの操作は、波の動きに合わせ、波の起伏にルアーが突っ込むように操作すると、水をしっかり掴ませられます。また、ポッパーの場合はポッピングで操作します。両ルアーとも操作の際はルアーをしっかり泡に絡ませ、しっかりポーズを入れるのが鉄則です。
基本的に、誘って止めた瞬間リアクションで食わせる釣りなので、2~3回誘ってはポーズ、この動作をしばらくやって反応がなければすぐに回収します。

■ルアー選びについて

ダイビングペンシルやポッパーが主力。トビウオを追っているようなときは220~240㎜の大型のプラグを、小サバやイワシを追っているときは200㎜のものをよく使います。ベイトが大きいときは水平姿勢で泳ぐもので良いですが、ベイトが小さいときなどはポーズを入れたときに直立に近い姿勢で浮くものが必要です。理由は下から見たとき小さく見えるから。結果的にリアクションで喰わせるので、止めたときにシルエットを誤認させることが大事です。

■釣り方 応用編

小型のイワシや子イカなどを喰っているとき、ルアーを見切ってしまうようなときは、先に触れたようにポーズ時に直立するルアーを使います。マグロは遠くから追ってきて、喰う直前でルアーを見破るのですが、静止視力が動体視力より良くないので、シルエットが小さいと見破れず、そのままリアクションで喰います。
また、気配はあるのに喰わないときは、船長が船のエンジンを切り、風任せで流します。このとき風上側に投げ、ラインを出してルアーを150mほど遠くへ送り出してアクションさせれば、喰わなかった魚を喰わせることができたりします。これまで釣ってきた感覚では、マグロは100m以内に船が近づくと警戒しますが、それ以上先は警戒が緩いと感じています。

■フックのセッティング

ルアーの浮力に対してフックが重いと、ルアーがアクションを起こす立ち上がりが悪化し、見切られやすくなります。また、フックの重量がアンバランスだと、ルアーの姿勢や動きが崩れたりします。つき詰めると諸説ありますが、大まかな基準はあります。先ほど例示した3つのフックは、ルアーサイズごとにマッチするよう、重量やフックサイズを設計してあり、適合表も付属しているため、フックの選択ミスが起きにくいのが利点。もちろん、強度や掛けたいところに掛かりやすい鈎先の形状も優れています。

■ファイトについて

フッキングについては、トリプルフックの場合は入れません。マグロの体重と突進力で向こうアワセで掛かります。シングルフックの場合は、マグロがルアーを咥えて走り出してから2~3回、ロッドを寝かせたまま綱引きの要領でアワセます。このとき、スプールは押さえず、ドラグが出ている状態でアワセます。
ファイトタイムは平均30~60分、水温の高い時期で魚のサイズが良いと慣れた人でも1~2時間かかります。持久戦なのでドラグ設定は自身の体力との相談です。
基本を言うと、初期ドラグは15kgで設定。体力に自信がなければ12~15kgの範囲で調整します。大型であっても15kgのドラグ負荷なら100~250m走ったところで一度止まります。綱引きファイトでじりじりと寄せますが、船と魚の距離が100mほどになると再び走り出します。これを3~4回繰り返すと、相手は呼吸を楽にしようと潮上へ向かいます。このときにドラグを20kgまで締め込み、プレッシャーをかけつつ寄せます。
疲れたマグロは底に向かい、円を描いて泳ぎ始めます。自分に向かって回ってくるときはどんどん巻き、遠ざかっていくときは、ひたすら耐える…この動きをくり返して浮かせていきます。

■リリースについて

資源保護のほか、一人でも多くのファンが1日でも多くチャンスを得られるようリリースを推奨します。船上には上げずに、下アゴをギャフまたはフィッシュグリップで保持し、フックを外します。そのあと、船で微速でマグロを引っ張って呼吸を助け、リリースします。この作業は船長がリードしてくれるでしょう。なお、キープした場合は、水産庁が指定するルールに基づき、速やかに同庁に報告してください。

■資源保護のためのルール

最後に大切な話をします。2026年4月から、クロマグロの漁獲管理を厳正に行う規制が改正され、事前に申請し、許可と登録を得た船しか釣ってはいけなくなりました。また、期間ごとに定められた漁獲枠があり、これに達するとその月は禁漁となるほか、遊漁では30kg以上の個体を1カ月で1人1匹までとリミットが定められ、釣った人は魚の重量、自身の住所や連絡先などの届け出が義務付けられました。以下にリンクを貼りますので、手続きやルールの詳細について水産庁のホームページで確認してください。

水産庁のページ

https://www.jfa.maff.go.jp/j/yugyo/y_kuromaguro/kyouryokuirai.html

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