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  • 2024.03.15

名手【日置 淳】直伝「キスの投げ釣り」上達の道標~Part1:基礎知識編~

エサがルアーになったり、特定の機能を持たせるために仕掛けが複雑になったり、魚の喰いが立つようアクションを入れたり……。日々釣りは変化し、複雑になったり簡単になったりを繰り返していますが、「鈎にエサを付け、仕掛を水中に放り込む。魚が食いついたらフッキングして鈎掛かりを確かにし、魚とのやり取りを楽しむ。」これが釣りの基本でしょう。

そんな基本ばかりで構成された釣りが「投げ釣り」です。明確な特徴は、その名の通り仕掛けを、人によっては200m近く“放り投げる”というところ。シンプルで誰もが釣れる、それでいて初心者とベテランでは釣果に差が出る奥が深い釣り、今回はキスを例に投げ釣りについて名手・日置淳さんに解説してもらいました。

「キスの投げ釣り」とは?

冒頭でもふれましたが、投げ釣りとは仕掛を遠くへ飛ばして、着水点から足元まで、広く探ってキスの群れを探しながら釣るシンプルな釣りです。キスのタナは基本的に海底なので、オモリで底を引きずりながら巻いてくればOK。

ただ、毎回フルキャストして群れを探す釣りでは効率が悪く、数は伸びません。1匹釣るのは難しくないが、「数釣りがしたい、人より多く釣りたい」と考えるのであれば、しっかりポイントを押さえておく必要があります。今回はキスの投げ釣りの基本とともに、釣果アップのポイントを紹介していきます。

ちょい投げと投げ釣り

「ルアーより釣れる、簡単でアタリも明確で面白い」と、シーバスロッドやエギングロッドを使った「ちょい投げ釣り」が人気ですが、ルアーロッドを使っているため飛距離には限界があります。当然、投げ釣りの真骨頂ともいえる広く探れるという部分はスポイルされ、仕掛けが投げ入れられない場所で釣れていても、指をくわえて見ているしかありません。

その点、本格的な投げ釣りならおおよそショアからの釣りでは並ぶもののない飛距離を誇っており、投げで届かない場所はショアからは狙えない場所と割り切ることもできるでしょう。とにかく、圧倒的な射程で魚をサーチすることが可能です。

投げ釣りの魅力

投げ釣りの魅力は、フルキャストの爽快感。こう聞くと手段が目的になってしまったような気分になりますが、スポーツキャスティングという飛距離を競うスポーツがあるように、魚が釣れなくても、仕掛けを投げているだけで楽しいという釣りでもあります。

もちろん、広い投点から地形を感じながら底を引いて海中をイメージし、群れを探す面白さ、キスは小さな魚ですがアタリは目が覚めるように強烈ですし、うまく狙えば多点掛けもできるゲーム性も備えています。

そして、ふわふわの天ぷらを好きなだけ食べられるのも、甘い刺身を賞味できるのも、釣り人の特権であり、キスの投げ釣りの魅力といえます。

さらに、キス釣りをしていても多彩な魚が釣れます。例えば小さいところではネズミゴチ(ガッチョ)、キュウセンベラ、小ダイ(チャリコ)、大きいところでは仕掛けにヒットしたキスにマゴチやヒラメが食いついてくることもあります。決して油断できない釣りでもあるのです。

キスってどんな魚

さて、皆さんはそもそもキスがどんな魚なのかご存じでしょうか?一般的に釣りで狙うキスはシロギスで、生息域は北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、大平洋沿岸、鹿児島県種子島、瀬戸内海の沿岸の砂地に住む海水魚です。寿命は4~5年以上とされ、肘タタキと呼ばれる30cmを超す大物も釣れます。

産卵期は初夏から秋口で、気温・海水温の高いときには浅場にいて、寒くなると深場に移動します。食性は雑食性で、頭を下げて海底を嗅ぎまわるように泳ぎ、ゴカイ、スナモグリ、ヨコエビなど底生生物を捕食します。

キスのシーズン

近年は深場を狙えば冬でも釣れるため年中狙えるターゲットと認識されつつありますが、数釣りが楽しめる盛期と呼べる季節は、晩春から初冬。特に初夏と初秋は海水温も高く群れが接岸するうえ活性も高いので、数釣りが期待できます。逆に冬場は沖の深場で過ごすことから狙いにくいですが、水深のある漁港などでは脂の乗った良型が釣れるので、狙ってみるのも面白いでしょう。

いま、季節の話をしましたが、これは日でもいえることで、夏場は日中高水温になる波打ち際より沖の深場で、冬は日中深場から浅場へと、エサが確保でき過ごしやすい水温を求めて移動しているようです。つまり、この動きを読めば、釣果もついてくるというわけです。

まとめると

晩春から秋→基本的にはサーフの浅場 朝夕は極浅場 日中は沖
冬から春→基本的には波止や堤防の深場  朝夕は沖の深場 日中は少し浅い場所の回遊も望める

日並 潮 時間帯

続いてキスの動きと潮の関係について。潮が大きく動く大潮がいいのか、あまり動かない小潮がいいのか、この辺りは釣行するエリアにもよるのではっきりしたことは言えませんが、満潮前後の潮が動くタイミングに食いが立つのは間違いないでしょう。おそらく満ち潮でそれまで行けなかった場所が浸水するため、よりエサの多い浅場へ差してくるからだろうと考えられます。特に春から夏にかけてはマズメ絡みの午前中に満潮が重なることが多く、水温との兼ね合いもあって外せない時間帯となります。

また、日中は暑くて釣りにならないうえ、海水浴客やマリンスポーツを楽しまれる方々の人出とも重なるため、朝夕の過ごしやすい時間帯のみ竿を出すことをお勧めします。逆に真冬は日の差さない朝晩は水温の安定した沖の深場にいることが多いので、日中の釣りがオススメ。春秋の過ごしやすい季節は、じっくり一日楽しんでみるのもありでしょう。

キスのポイント

続いてポイントの条件ですが、これは底が砂地であることが絶対です。ヘドロや岩盤底にも生息するかもしれませんが、砂地というだけで釣れる確率がグンと上がります。そして、砂地に点在するシモリや海藻、沈みテトラなどに着いていることが多く、ブレイクに添って回遊していることから、砂地にこういったストラクチャーが絡むポイントがあれば竿を出してみる価値ありでしょう。

とはいえ、初心者がいきなり釣り場へ行って居るか居ないかわからないキスを探す必要はありません。というのも、キスは毎年同じような場所で同じような時期に釣れるからです。インターネットを使って過去の釣果情報から釣り場を探すことができます。また、エサを買うついでに釣具店でスタッフに聞いてみるのもいいでしょう。大体の釣れている場所は教えてもらえるはずです。

釣り場が決まれば後はそのポイントの地形を見て、実際に竿を出す場所を決めます。もちろん手あたり次第投げてポイントを探っていってもいいのですが、キスの着き場を知っていると、格段に効率的に釣果を上げることができます。それが、先ほど挙げたブレイク、シモリ、海藻、沈みテトラといったストラクチャーです。

これらを発見するには、サーフにエントリーする前に、海を見てみることをお勧めします。一見するとただの砂浜でも、波打ち際はへこんでいたりせり出していたり湾曲しているし、石積み波止が沖に伸びていたりもします。海中を見ると白く明るい砂地に黒く見えるシモリや海藻帯がわかるはずです。さらに、沖に目をやると波除のテトラが積まれていたりもします。キスはこういった変化に着いているので、仕掛けを引くコースを決める参考にしましょう。

そして、実際仕掛けを引いてみると、所々で仕掛けの引き抵抗が強くなる場所があることに気づくはずです。これが、カケアガリ(ブレイク)と呼ばれる部分で、陸に向かって急に浅くなっている場所になります。ストラクチャーに着く群れがいる一方、こういったブレイクに添ってエサを求めて回遊する群れもいるので、ブレイクを意識して釣ると釣果を伸ばすことができるでしょう。

ちなみに、波打ち際が沖にせり出している部分はそれだけ周りよりも浅くなっている場所、反対にへこんでいる部分は周囲より深い場所、また、沖に伸びる石積み波止や突堤は、潮流で流されてきた砂が堆積するので、浅くなっています。そして、海面を見て周囲より波が高い場所は浅くなっています。つまりその周りにはカケアガリがあり、キスの回遊ルートになっているので、狙い目となることを覚えておきましょう。

投げ釣りのマナー

さて、サーフで投げ釣りを楽しむ際に気を付けたいのが、周りの釣り人や、釣り以外のマリンレジャーを楽しまれている方々の存在です。先行者がいる場合は十分に距離を置いて釣り座を取るのはもちろん、多数の釣り人で間隔が狭いなら、左右の釣り人には必ず挨拶をしてから竿を出すようにしましょう。また、遊泳者やサーファー、ジェットスキーをされている方がいるようなら、ポイントを移動する柔軟性も持っておきたいところです。

そして、自身の安全確保も重要。夏にビーチサンダルで立ち込みながら釣りをするのは気持ちのいいものですが、サーフがどこも遠浅とは限りません。特に遊泳禁止になっているようなサーフは、ちょっと立ち込んだだけで腰位の水深になるような場所も多いです。そんな場所に離岸流が絡んだりしていると、あっという間に沖にさらわれてしまうことも十分考えられます。安易に立ち込まず、サーフでもライフジャケットを着けて楽しみましょう。

また、夏の午後は夕立の可能性も高いシーズンです。夕立は雷とセットになることも多いので、入道雲が発達し始めた、辺りが急に暗くなったなど、天候の変化にも気をつけて楽しみましょう。

Part2:釣行準備編につづく。

プロフィール…日置淳(ひおき じゅん)1968年3月11日、大阪府岸和田市生まれ
オーナーばり投げフィールドテスター/シマノインストラクター/フジワラフィールドテスター
小学生のころから自宅近くの海岸で投げ釣りを始め、投げ釣り歴は46年。国内外のスポーツキャスティング大会やキス釣り競技会において、優勝をはじめ、上位入賞歴多数。現在、投げの分野において、スポーツキャスティング、キス釣り、大物釣りと多彩にこなし、旬の魚を釣り歩いている。またメディアを通し、投げ釣りの楽しみを全国各地のキャスターに伝えている。